技術士への遠く長い道のり [AD]

建設会社に入り、10年ほど業務をこなしていた頃、先輩から技術士を取ったらどうだとアドバイスを受けた。一級土木施工管理技士の資格は取っていたが、技術士についてはあまり考えていなかった。当時、先輩によると、「退職しても、技術士を持っていれば、コンサルタント会社への就職にも役立つ」と後押しされた。

とりあえず、技術士の試験がどんなものかと調べると、筆記試験の記述問題のボリュームがありえないほどの量で、この字数をこの時間で書くのかとやる気をなくすほどのものだった。
しかし、一般問題に解答するには、世の中の動きに関する知識をいやが上にも吸収する必要があり、また、専門的な問題では、自分の知識を整理したり、不足する部分を補ったりするのに、役立つと思いなおし、受験することにした。先輩からは、「経験問題については添削してやる」と協力して頂けることになった。

とりあえず、一回受けてみようとあまり準備もせずに受験したが、手は痛くなる、時間は全く足りない、下手な字が余計に汚くなる、といった状態だった。受験に真剣に取り組んでいる方々に全くもって失礼な受験態度だったと反省した。
気合いを入れて準備しなければと次年度の試験に向けて勉強を始めようと思ったが、なかなか日々の業務をこなしながら、時間を取ることが難しかった。結局、ゴールデンウィークと試験直前の夏季休暇時(当時の試験日は8月下旬だったはず)に集中して、勉強することになった。寝て食って勉強しての休暇を、それでも、続けることはできた。
2回目の受験の手ごたえは上々だったが、結局、筆記試験で不合格となった。どこがいけなかったのだろうと反省しつつ、来年、頑張ろうと決めた。

3回目の不合格では、かなり、ショックを受けていた。前回よりも手ごたえはさらに良かったからである。これは、字が汚いからかもしれないと、ペン習字の本を買ってきて、付け焼刃の取り組みも行った。これは、来年も受けることの自分なりの覚悟になっていたと思う。
4回目の受験ともなると、一般問題、つまり、時事問題について、事前に用意している解答例の数も増えてくるので、それを読み返して、暗記するのも結構大変な作業になってきた。
ただ、建設白書の内容に関する理解や日々の世情に関する問題意識などは、知らず知らずのうちに養われていっていたように思う。
5回目の受験のときには、結婚して妻がいる状態で、例の夏季休暇時集中勉強を行ったわけだが、遊びに出かけることもなく、協力してくれたことに感謝している。

さて、いつ合格したのかとなる。なんだか、毎年恒例の技術士受験になってしまっていた気もするが、現場へ転勤になっていたとき、7回目の受験だった。受験の手ごたえは良かったとはいえ、以前にはそのときよりも感触が上だった時はあったので、あまり、期待はしていなかったが、ポストに筆記試験の合格通知が届いたわけである。まだ、技術士になれたわけではないが、妻に「ありがとうな」といった記憶がある。

次は、未知の面接試験だが、筆記試験よりも面接試験で落ちる確率は低いと言われるものの、落ちたらまた、夏休みがなくなると思うと緊張というかあせりが身体を縛ってくるようだった。
面接については、会社から注意点や経験談をまとめた資料をもらうことができて、非常にありがたかった。「合格するには技術士の三原則をきかれなければならない」といったアドバイスもあったかと思う。
面接当日、経験論文についての質問が多かった。最初に「書いている経験業務がずいぶん古い内容ですね」と聞かれたので、「何年も受験しているがネタを更新していなかった」とは言えないので、「それらの業務が技術士としての業務遂行の原点だったから」と答えた。とっさに出た言葉だったが、実際、そうだったことも事実である。また、一般問題の質問では、記述していなかった問題に関する質問も受けた。SI単位に関する質問だったが、「それについては解答していない」とは言えないので、あまり、難しいことは言わずに、SI単位の導入における問題点を使う側の人間として述べたと記憶している。

面接が無事に終わり、なんとか、合格することができた。その後、技術士の登録手続きを行って、晴れて技術士になれたわけである。
振り返って、一番大きかったのは、毎年受験したことだと思う。妻の協力、先輩の助言に励まされながらだったことは大きい。落ちる度に、「まだ技術士としての技量不足なんだな」と自分を鼓舞できていた。
技術士になって20年以上になるが、業務を遂行する上で、技術士として恥じないというか自分自身をごまかさないで、常に問題意識と課題解決に向けた姿勢は持ち続けてきたと思う。少なくとも、自分の発言したことで、その後、夜、眠れなくなるようなことは避けることができている。
何回も受験したわけだが、勿論、一発合格が一番いいに決まっている。
あまり、参考にならないかもしれないが、不器用な受験者の道のりだと斜め読みでもしてもらえればと思う。

アルバイト/バイトで大切な事TOPに戻る

カテゴリ